1981年のころ、ソニーから電子式スチルカメラが発表された。マビカである。画素数がどのくらいであったかは記憶に無いが、写真作品を撮るための道具としてはほど遠い存在であったと記憶している。その後1995年の頃、カシオからQV-10と呼ばれるデジタルカメラが発売された。電子式スチルカメラという表現よりは、デジタルカメラと呼ぶにふさわしい、デジタルカメラ時代へ向い始めた写真撮影の道具の未来を、ほんの少し想像させるものであった。それから10年とたたない2003年の現在、市場には多くのデジタルカメラが溢れ、デジタルであることがさほど珍しい存在ではなくなりつつある今日である。
しかし2000年に入った時代でも、写真作品を撮影する道具として見たとき、使ってみたくなるデジタルカメラは少なく、画素数の割には高価で重たく、どちらかというとスタジオ向けのデジタル画像取込み装置的な存在でもあった。そこにきて、この数年は状況が一変したようにも感じられる変化が現れ出した。各社からコンシューマにも手の届く比較的ローコストのデジタル一眼レフが出始めたからだ。
2000年のフォトキナで、ペンタックスは35mmフルサイズCCDを搭載する本格的なデジタル一眼レフを発表した。また同じころ600万画素35mmフルサイズCCDのコンタックスNデジタルも発表となった。そして2003年の今日現在ではAPSサイズCCDまたはCMOSを搭載する600万画素デジタル一眼レフとして、ニコン D100、キャノン EOS D60、ハニカムCCDのフジ FinePix S2 Pro、少しCCDの構造は違うが、1ピクセル垂直3色取込みのシグマ SD-9 などが登場したのである。 35mmフルサイズCCDやCMOSの機種としては、600万画素のコンタックスNデジタル、1100万画素のキャノン EOS 1Ds、それから1400万画素でしかも低価格なコダック DSC Pro 14n などがある。またSONYも来春600万画素クラスを発表すると言われているし、ペンタックスは2003年2月、6月の発売予定でAPSサイズ600万画素デジタル一眼レフ *ist D を発表した。
こうした600万画素クラスの一眼レフが、ハイアマチュアやプロの市場で受け入れられ始めた背景には、なんといってもデジタルカメラのローコスト化がある。 |